
パリの街角で出会った市井の男性たちの肖像と聞き書きを束ねたノンフィクション。白地のカバーには、眼鏡をかけ顎髭をたくわえた紳士の上半身、革のローファー、革ベルトの腕時計が、にじみを残した水彩と細いペン線で点在するように配される。タイトルはやわらかな手書き調の和文で右側に縦組みされ、余白を大きくとった構成が、人物の佇まいをそっと観察するような視線をそのまま誌面に持ち込んでいる。装画の素朴な筆致と抜けのある白が、見知らぬ誰かの日常を静かに肯定する本書の距離感とよく響き合っている。
装丁吉田考宏
吉田考宏 / 2013年
人文・思想