
少女時代の記憶と冒険を、時の小箱に封じ込めるような一冊。表紙では少女が鏡の前にたたずみ、振り向いた自分と視線を交わす。窓辺の薄いカーテン、宙に舞う花びら、ハート型の椅子、ピンクのトランクなど、部屋を構成する小物の一つひとつが、ある日の記憶を閉じ込めたように柔らかな色調で描かれる。タイトルはミントグリーンの抜き文字で、流れゆく時間に透明感を添える。鏡像と現実、いまと、いつか。隔てられたふたつの時を静かに重ねる装い。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論