
大阪に来た人、出た人。かつていた場所と今いる場所が「私」を通して交差する、社会学者と小説家による初の共著エッセイ。落ち着いたグレーの地に、紅白に塗り分けられた煙突や煉瓦のアーチ、所在なげに佇む一匹の犬を描いた小さな絵が、写真のようにそっと貼り込まれている。タイトルは黒の細い明朝で右上に控えめに置かれ、帯に走る赤い縦書きが煙突の色とかすかに響き合う。誰の街でもあり、誰のものでもない大阪の、静かな呼吸が一枚に収められている。
著雨宮処凛
装丁川名潤
装画長崎訓子
河出書房新社 / 2014年
社会・政治