
夏目漱石とその周辺にいた作家たちを描いた漫画。漱石を中心に交わされる人物関係や逸話を、コマ割りと吹き出しで軽妙に追いかける一冊で、本書は「作家篇」として門下や同時代人を取り上げている。表紙はモノクロに近い淡いトーンの漫画原稿を一面に敷き、その上から書名を緑がかった青の太い筆致で大きく重ねる構成。コマの台詞や擬音がうっすら透けて見え、漫画そのものを装画として展開しつつ、書名の手描きの線が登場人物たちを優しく束ねている。研究書ではなく、人物たちの息遣いから漱石の時代に分け入っていく姿勢が、紙面そのものから伝わってくる。

著樋口一葉、伊藤比呂美、島田雅彦、多和田葉子、ほか
装丁名久井直子
装画北澤平祐
河出書房新社 / 2022年
文学・評論