
朝のスープ屋を舞台に、店主が客の抱える小さな謎をひと皿のポタージュとともに解いていく連作。今日を始めるための一杯と、心を温める言葉が重なる。カバーは木のカウンターと朝の光に満たされた店内を柔らかなタッチで描き、湯気のように差し込む白い陽差し、トマトや葉物が並ぶ野菜籠、エプロンの店主と客の穏やかな佇まいが、琥珀色の階調でまとめられる。タイトルの白い縦組みが店の暖色のなかにすっと立ち上がり、目覚めの時間の手触りをそのまま装丁に置き換えたような一冊。

著高橋由太
装丁藤牧朝子
装画mocha+@mocha708
宝島社 / 2016年
文学・評論