
スイスの作家による紀行的なエッセイ集。慣れ親しんだ土地と未知の場所のあいだを行き来しながら、人と風景の関係を静かに見つめていく文章が収められている。表紙には、なだらかな丘陵と教会のある村、牛や犬を連れて歩く人々を俯瞰で描いた絵画が大きく配されている。手前には麦わら帽子に熊手を持つ農夫、奥には湖と山並みが層をなして広がり、空には淡い雲が流れる。日本語タイトルと原題、訳者名は上部に控えめに置かれ、絵の世界を遮らない。緻密に描き込まれた風景そのものが、旅人のまなざしを誘い込むように働いている。

著MikaPikazo、吉上亮、アーチ株式会社
装丁川谷康久
装画Mika Pikazo
新潮社 / 2022年
文学・評論