
現代美術家集団の一員である一人の女性を、街頭やパフォーマンスの現場から捉えた写真集。表紙には、白いフリルのドレスに猫耳のフードを合わせた人物が、青い筆文字で「LOVE」と記された手書きの看板を両手で高く掲げて立つ姿。背後には整列する制服姿の警備員、灰色のビル群と石畳の路面。ドキュメンタリー写真をそのまま大きく用い、書名は看板の余白に小さく刷り込まれる。装飾的な衣装と公的空間の硬質さが拮抗し、個の身体が街路に切り込む一瞬を表紙一枚で提示している。
著稲垣えみ子
装丁芥陽子
装画佐々木一澄
朝日出版社 / 2021年
文学・評論