
京都に暮らす三姉妹それぞれの恋や仕事、生き方の選択を描いた長編小説。表紙は川辺に腰を下ろし、橋と対岸の山並みを眺める三人の女性を水彩のタッチでとらえた一枚。瑞々しい緑と水のブルー、人物のからし色や赤いスニーカーが軽やかに響き合い、線は柔らかく、輪郭を残したままにじむ筆致が初夏の空気をまとう。タイトルと著者名は蛍光イエローの帯状の地に黒の明朝で配し、絵の穏やかさに小さな鋭さを差し込む。手のひらに収まる景色のように、三人ぶんの時間がそっと並ぶ装丁になっている。

著AusterPaul、柴田元幸
装丁新潮社装幀室
カバー写真Karlis Andzs
新潮社 / 2022年
文学・評論