
畳と障子の和室で背中合わせに座る二人の青年が、何らかの相談事を引き受けているらしい——タイトルが示す「怪しい副業」の正体は明かされず、表紙はその入口だけを差し出す。くすんだ朱とセピアを基調に、障子へ墨書された文字、麻の葉文様の襖、足元に広がる彼岸花めいた赤い花が重ねられ、画面下を不穏に染める。膝のノートパソコンが時代を現在へ引き戻し、古い座敷と現代の稼業の間に微かな歪みが生じる。タイトルは白い短冊に小さく置かれ、画面の物語に立ち入りすぎないよう距離を保っている。
著小川一水
装丁坂野公一
装画げみ
光文社 / 2015年
文学・評論