
星新一が世界各地を訪ねた体験を綴った旅のエッセイ集。気の向くままに足を伸ばし、未知の街や人々と出会った折々の記憶が、星らしい軽妙な筆致で記される。鮮やかな青空を背景に、五芒星の各面へ玉ねぎ屋根の聖堂、摩天楼、寺院、白い鳩、稲妻、太陽などの旅の断片が割り付けられ、中央にはカメラを構える旅装の人物が据えられる。輪郭の効いたフラットな描線とポップな配色が、気まぐれに世界を渡り歩く視点そのものを一枚の意匠へ畳み込んでいる。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論