
打ち捨てられた場所をめぐる短編を集めたホラー・アンソロジー。事故で閉園した遊園地、都市伝説のささやかれる廃病院、時代から取り残された集合住宅——七つの「立ち入ってはいけない場所」が並ぶ。カバーは鉛筆で精緻に描き込まれたモノクロームの室内画で、朽ちた額縁や蔓に呑まれた壁の只中に、白いワンピースの少女がひとり佇む。タイトルは赤の毛筆体で大胆に重ねられ、退色した灰色の画面にただ一点、血のような色が差し込む。静謐な廃景と鮮烈な朱が、踏み込んではならない場所への怯えを視覚化している。

著廣嶋玲子
装丁内海由
装画丹地陽子
東京創元社 / 2017年
文学・評論