
閉ざされた扉と、そこへ続く一本の道を描くミステリ。手元の灯りだけを頼りに、登場人物が真実の在処へ向かって踏み出していくような物語の気配が、表紙の構図そのものに重ねられている。深い藍と黒で塗り重ねられた岩肌の奥に、淡く発光する白い祠と赤い扉が浮かび、後ろ姿の人物が懐中電灯で足元を照らす。荒い筆致のテクスチャが夜の質感を作り、タイトル文字はくすんだ橙で控えめに置かれている。閉ざされた場所へ近づく一歩を、画面全体の暗さがそのまま緊張として支えている。
著寺地はるな
装丁鈴木久美
装画家田幸奈
光文社 / 2017年
文学・評論