
水産庁の調査船に乗り込んだ若き医師が、世界の海と港町で出会った人と風景を綴った航海エッセイ。机上の旅愁ではなく、船酔いも酒場の喧騒も含めた等身大の旅の記録として読み継がれてきた一冊。表紙は白地に手描きの線画で、マンボウのような顔の人物、汽笛をあげる船、蛇、ヤシの木、「IPPAI YARUKA」の缶などが軽やかに散らされる。朱・青・黄の三色で抑えた配色とゆるい筆致が、肩肘張らない旅の高揚と、その裏側にあるユーモアを過不足なく伝える。

著霧友正規
装丁西村弘美
装画カスヤナガト
KADOKAWA / 2016年
文学・評論