
裁判員として公正であろうとしていた婚約者は、なぜ裁判員だった主人公の前から姿を消したのか。被告人の無罪・有罪を問う物語に、私的な揺らぎが影を落とすリーガル・ミステリ。カバーは灰色がかった暗い絵肌の上に、ぼんやりと佇む人影らしき像が滲み、その上から白い明朝の縦組みでタイトルが大きく置かれる。腰の位置には黒地に白抜きの帯が走り、推薦文と書名の漢字「無罪」「有罪」だけが黄に染められて視線を吸い寄せる。色を抑えた画面のなかで、判決の二択だけが鋭く光る構成だ。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論