
江戸を舞台に、薬草と人の縁を見つめる若き女性の姿を描いた長篇時代小説。主人公お葉が市井の人々に寄り添いながら、医の心を育てていく書き下ろし作品である。生成りの和紙を思わせる地に、青の縞の着物をまとった女性が草花を抱いて佇み、南天や竜胆、女郎花など季節の薬草が画面いっぱいに繊細な水彩で描き込まれる。タイトルは滲みを含んだ筆致の漢字仮名交じりで、植物の隙間に静かに置かれた。薬草に囲まれた人物画が、医と暮らしの距離の近さをそのまま装丁に映している。

著新海誠
装丁木庭貴信
KADOKAWA / 2014年
文学・評論