
ロックンロールの言葉で時代と恋を歌い続けた歌い手が遺した詩篇を、文庫の判型に収めた一冊。生前のライブMC、未発表詩、絵本のための原稿などを束ね、声と紙の距離を縮めて読ませる。表紙はオフホワイトの地に、鉛筆の細密な線で描かれた少年と犬、傍らの蛙や羊歯、開かれた本といったモチーフを物語の一場面のように配置。タイトルは橙、著者名は黒の和文活字で控えめに添えられ、下部の文庫レーベル印が画面を引き締める。歌の人の言葉を、童話の挿絵めいた静けさで受けとめる装い。
著増田忠則
装丁國枝達也
装画小山義人
双葉社 / 2023年
文学・評論