
1980年代の新宿ゴールデン街を舞台に、文学を志して上京した青年が酒場の喧騒と人間模様に翻弄されながら自分の場所を見つけていく長編小説。カバーは青一色に沈めた路地のイラストレーションで、看板や室外機が並ぶ細い通りを白いシャツの後ろ姿がひとり歩いていく。タイトルはかすれを残した白い角ばった書体で大きく配され、英字の小書きが控えめに添えられる。深い藍とくすんだ水色の階調が夜明け前の街の湿度を伝え、孤独な後ろ姿と相まって、若さの寄る辺なさと街の引力をそのまま画面に焼き付ける。
著増田忠則
装丁國枝達也
装画小山義人
双葉社 / 2023年
文学・評論