
胸騒ぎがしても電話に出ない家族——その不在を起点に、看護師の日常へ静かに忍び込む不穏を描くサスペンス長編。表紙の絵画は、椅子に腰掛けた人物の頭部に白い布袋が被され、顔のない姿が灰みを帯びた室内に置かれている。茶系の上着と画面全体のくすんだトーンが息苦しさを醸し、その上に明朝体の太い白抜きで「監禁」の二字が大きく重ねられる。匿名化された身体と、逃げ場のない命名。絵と文字が一致して、読む前から閉じ込められた感覚が立ち上がる装丁。
著増田忠則
装丁國枝達也
装画小山義人
双葉社 / 2023年
文学・評論