
江戸期の大坂・堂島を舞台に米相場と人々の生き様を描く歴史長編シリーズ、その第四巻。「背水篇」という副題が示すとおり、追い詰められた局面での決断や緊迫した展開が綴られているのだろう。表紙には朱赤の和傘を背に、髷を結った和装の男と桃色の着物の女、抱かれた幼子が並び、舞い散る花弁とともに日本画的な筆致で描かれる。三者の視線はそれぞれ別の方向へ向けられ、物語の岐路に立つ人物たちの心情を静かに予感させる構図にまとめられている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論