
神戸・三宮を舞台に、いわくつきの賃貸物件をめぐる人々を描いた連作。不動産という日常の手続きの裏側に潜む怪異と、住む者たちの事情をすくい上げるライトミステリーである。表紙は玄関ドアを開けた瞬間を真俯瞰気味に切り取ったイラストで、室内へ差し込む光と緑がかった床の陰影が独特の浮遊感を生む。タイトルは縦組み明朝体を白い短冊に載せ、下部にビルのシルエットを添えて街の気配を示す。覗き込む構図そのものが、扉の向こうにある「ワケ」へと読者を誘っている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論