
これまでに出会ってきた書き手たちや、自分のなかに住む「魔女」の気配を呼び寄せるように綴られたエッセイ集。生成りの背景に、赤いセーターと丸い赤縁めがねの白髪の女性が紅茶のカップを手にし、椅子の背には黒猫が静かに寄り添う一枚絵が据えられる。タイトルの「作家」と「魔女」だけが朱色で抜かれ、ほかの文字は黒のまま。日常の卓上に物語の気配がそっと混じり込む、そのささやかな越境を、穏やかな色面とやわらかな線が淡く受けとめている。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論