
ボールのようなことば」という言い回しが示すのは、誰かに投げ、また返ってくる、言葉のやりとりそのものへのまなざしだろう。表紙には、目を閉じ口を開いて声を放つ幼子の横顔が描かれる。和紙を思わせる生成りの地に水彩で柔らかく置かれた線、ふくよかに色づく頬、朱赤の前掛け、そしてそれと呼応するタイトルの朱の手書き。発語そのもののあたたかさが画面に灯り、まだ重さを持たない頃のことばを差し出すように、一冊の輪郭をそっと定めている。
装丁清水肇
装画ヨシタケシンスケ
prigraphics / 2021年
文学・評論