
90年代に耳が捉えた音の記憶を辿る、断片的なコミック作品。表紙は2×3のコマ割りで構成され、耳の輪郭、傾いだ身体、丸まった姿といった黒い線描の場面が並び、コマ枠を越えて広がる黄色いインクの滲みが全体を浸している。上部に「LISTENING IS REMEMBERING」、内側には「94年のことだ」の一文と往年の海外ミュージシャン名が縦書きで小さく添えられる。淡い紙の白と染みのように残された色彩が、思い出すことの曖昧さと鮮やかさを同時にかたちにしている。
著岸本章
装丁吉岡秀典+佐藤翔子+平良佳南子
彰国社 / 2024年
アート・建築・デザイン