
ホロコーストの最年少生還者の一人が、4歳でアウシュヴィッツから生き延びた自身の体験をつづった回想録。表紙には、有刺鉄線の柵が続く収容所の通路に、縞模様の囚人服を着た幼い子どもがぽつんと立つ風景画が用いられている。淡く滲んだ絵筆のタッチと、空の白さ・地面の緑が記憶のなかの情景のように柔らかく、痛ましさを直接突きつけない距離をつくる。下部には鮮やかなターコイズの帯が大きく掛かり、子どもの肉声を引いた手書き風の太字が並ぶ。静かな絵と強い色面の対比が、幼い視点から語られる過酷な事実の重みを支えている。
著濱野京子
装丁城所潤
装画あわい
静山社 / 2023年
絵本・児童書