
著者が暮らす街・東京の風景を、随筆のまなざしで掬い上げた一冊。声高な観光案内ではなく、見慣れた路地や季節の気配を、ひとりの生活者の視点から綴る。表紙には、群青と藍を基調にした絵画作品が大きく据えられ、太い枝を広げる樹木と柵らしき輪郭が、荒々しい筆致と滲みで描かれる。タイトルと著者名は明朝で縦組みに静かに並び、右端に細い枠線で叢書名が控える。絵の湿った青の重なりが、街に潜む情景のひだを、文章の前に静かに差し出している。
著CarrascoJesús、轟志津香
装丁早川書房デザイン室
装画agoera
早川書房 / 2016年
文学・評論