
日常の風景にふと差し込む遠い予感を、静かな言葉で掬い上げる詩集。クラフト紙のような生成りの地に、蛍光ピンクの円とモノクロームで刷られた天体めいた断片が重なり、月とも惑星ともつかぬ気配を立ち上げる。書名は縦組みの小さな明朝で右下に控えめに置かれ、空白の広さがそのまま「待つ」時間の余白として効いてくる。素朴な紙の手触りと印刷の鮮烈さの落差が、バス停に立ち宇宙船を待つというイメージの遠近をそのまま装丁に翻訳している。

著平野紗季子
装丁大島依提亜
装画Alexis Ralaivao
新潮社 / 2024年
暮らし・健康・子育て