
幕末から明治にかけての横浜を舞台に、菓子屋「浜風屋」を切り盛りする娘の奮闘を描いた時代小説。黒船や異国の街並みを背景に、和菓子の世界へと飛び込む若い主人公の成長譚として読める一冊。表紙は鮮やかなターコイズの空とサーモンピンクの大地を大胆に塗り分け、黄の格子柄の着物をまとった娘が菓子箱を抱えて中央に立つ。周囲には饅頭や羊羹、橙や柚子といった和の素材、そして帆船や走る人物が散りばめられ、絵巻物のように画面を彩る。題字は朱の角丸枠に白抜きで力強く、レトロな筆致のイラストと相まって、菓子と人情が行き交う港町の活気をひと目で伝える装いになっている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論