
中央線・西荻窪を歩きながら、商店や路地、土地に根を張った人々の気配を絵と文で綴ったイラストエッセイ。吉祥寺の隣でひっそりと光る街の手ざわりが、軽やかな線と短い文章で重ねられていく。表紙は鮮やかなオレンジの地に、トーストへ落とされた目玉焼きを描いた水彩がぽつりと置かれ、筆書きの題字が縦に大きく抜ける。下半分には看板や猫、店先のスケッチが新聞のように敷き詰められ、朱印風の街名スタンプが小さく押される。一枚絵の鮮度と紙面の雑多さが、路地に降り立った瞬間の高揚をそのまま閉じ込めている。

著スー・ブラック
装丁APRON
亜紀書房 / 2022年
ノンフィクション