
能楽師である著者が、旅と能、そして古典を手がかりに、目に見えないものへ通じる入口を探していくエッセイ集。日常の風景の奥にある気配を、文学と身体感覚の両側から読み解く一冊である。表紙は、緑がかった壁面と植物の葉先を捉えた絵画的なイメージを大きく配し、その静かな画面に細い明朝の和文タイトルを縦に三列、淡い余白とともに重ねる。著者名を一文字ずつ離して置く呼吸が、画中の植物の佇まいと共鳴し、見えないものへ耳を澄ますような時間を装幀そのものが用意している。
著石戸諭
装丁アジール
装画佐藤直樹
亜紀書房 / 2017年
社会・政治