
通信制高校で再会した幼馴染の万葉と沙羅。本好きの彼に影響を受けながら新しい本と人に出会っていく、迷いを抱えた二人の青春小説。表紙には、軒先まで本があふれる古書店の店先が緻密な線画と淡い彩色で描かれ、立ち読みする青年と紺のワンピース姿の少女が向かい合う。青空の覗く路地、室外機やプランターの生活感、書棚の質量感がやわらかな色調でまとめられ、上部の縦書きタイトルが余白に静かに置かれる。帯の朱色が画面を引き締め、本を介して人と人がつながる物語の入口を、街角の一場面として差し出している。

著坂井希久子
装丁大久保明子
カバー写真枝優花
文藝春秋 / 2019年
文学・評論