英国の田舎町で、劇団主宰者の孫娘ポピーの治療費を募る活動が始まる。善意で結ばれたはずの人々のメール、供述調書、新聞記事を読み解くうちに、募金をめぐる疑念と殺人事件の輪郭が立ち上がる。地の文を置かず、資料の断片だけで読者を捜査役に変えるデビュー作。深い赤の舞台袖を思わせる空間に人物を小さく配し、白い手書き文字を大きく横切らせた表紙は、演じられる物語と舞台裏の不穏さを同居させる。奥へ続く柱と暗がりが、証言の隙間へ踏み込む読書体験を予告している。
About
- 判型
- 文庫判(105×152mm・704ページ)