
九度目の十八歳を迎え続ける君と、その理由を探って高校時代を遡る僕を描いた青春ミステリ長編。表紙は駅のホームに佇む制服姿の少女と、少し離れて立つ通学者たちを淡い水彩タッチで切り取り、ターコイズブルーの背景にタイトルを縦組みで重ねる。蛍光灯や案内表示のにじむ光が朝の空気を運び、白いブラウスと紺のスカートだけが時間から取り残されたように鮮明だ。止まったままの十八歳と、進んでいく僕らの距離を、ホームの一場面に静かに閉じ込めた一冊。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論