
神戸栄町のアンティーク店を舞台にした連作の第二巻。持ち主を失った一着のジャケットをめぐり、品物に宿る記憶と人の営みが静かに重ねられていく。カバーは温かな照明に照らされた店内をやわらかな筆致で描き、エプロン姿の少女と少年、奥に並ぶ古いヴァイオリンや黒電話、手前の観葉植物が時間の層を感じさせる。タイトルは縦組みの明朝で空間に溶け込むように配され、飴色の木目と赤茶のエプロンが画面に落ち着いた温度を与える。修理という行為の慎ましさが、装丁の柔らかな光のなかにそのまま息づいている。
著天城智尋
装丁AFTERGLOW
装画碧風羽
双葉社 / 2019年
文学・評論