
夏の光のなか、自転車に二人乗りする少年と少女を描いた青春小説。海沿いと思しき道、晴れた空に湧き上がる入道雲、煉瓦造りの建物が並ぶ景色が、走り出した瞬間の風と速度を画面いっぱいに運んでくる。表紙はやわらかな線と透明感のある彩色で人物の表情をすくい上げ、その上に大きな英字タイトル「SUMMER LANCER」を淡く重ね、赤い細字の和文タイトルで芯を通す。装画の透き通った青と、文字の控えめな赤が、青春の眩しさと胸の奥にある熱を同じ画面のなかで響かせている。
著荻原規子
装丁鈴木久美
装画小林系
角川グループホールディングス / 2013年
文学・評論