
歌人・穂村弘による書評集。週刊誌連載の読書日記をまとめ、本の中の世界に没入する歓びを綴る。鮮やかな朱赤の地に、中央へモノクロームの細密な鉛筆画を窓のように嵌め込んだ構成。描かれるのは、おかっぱ頭の少女が獣や鵞鳥、風船と向き合う室内の情景で、カーテンや木箱の質感が緻密な線で刻まれている。和文タイトルは縦組みの明朝で左右に置き、上部に欧文の細い書体を添える。帯は深い藍で、雨と稲妻に守られた読書の安らぎを短い断章で告げる。外界の嵐と、図書館という静かな庇護を、赤と藍のコントラストが穏やかに引き受けている。
著阿部智里
装丁関口信介
装画苗村さとみ
文藝春秋 / 2014年
文学・評論