
視力を失っていく男と、言葉を失った女。古典ギリシャ語の教室で出会ったふたりの沈黙と接触を、静謐な筆致で描く長編。「韓国文学のオクリモノ」シリーズの一冊として刊行された。カバーは淡いミントグリーンと白の菱形格子を地に、線画でモチーフを構成。中央には壺に生けられた植物が細い黒線で描かれ、額縁状の枠とタイトルの装飾的なレタリングが幾何学的に組み合わさる。色面を最小限に抑えた線の構成が、声を持たぬまま響き合う二人の距離を、紙の上に静かに引き写したように見える。
著アヌシェイ・フセイン
装丁鈴木千佳子
晶文社 / 2022年
ノンフィクション