
目に見えない存在=イマジナリ・フレンドをめぐる青春小説。背を向けて立つ少女の傍らで、もう一方の手だけがそっと差し出され、見えない誰かと指先を結ぼうとしている。茜色に染まる空と遠い街並み、ブラウスとプリーツスカートの淡い水彩タッチが、思春期の不安と祈りに似た感情を空気ごと掬い取る。タイトルは縦組みの太い明朝で右上から流れ落ち、中央には筆記体の英字ロゴが小さく添えられ、画面の余白を残したまま静かに響く。見えないものを信じていた時間の手触りが、装画の柔らかな光のなかにそのまま閉じ込められている。

著PerrinValérie、高野優、三本松里佳
装丁鈴木久美
装画agoera
早川書房 / 2023年
文学・評論