
性暴力やセクシュアル・ハラスメント、痴漢被害など、社会のなかで「なかったこと」にされがちな出来事を取材し続けてきた書き手が、当事者の声と統計の双方を往復しながら現実の輪郭を捉え直す一冊。装画は水色と黄色の二色を基調にした線画で、漫画のコマのように分割された画面の中で、少女と思しき人物の足元から大量の紙片や布が滲み出している。整然とした枠線の外へ溢れ出すモチーフは、制度の外側にこぼれ落ちる声そのもののようにも映る。縦組みの白い余白と軽やかな配色が、重い主題をひらく入口の役目を果たしている。

著関根美有
装丁芥陽子
タバブックス / 2014年
コミック・ラノベ・BL