一覧に戻る文学・評論赤の他人だったら、どんなによかったか。吉野万理子家族という最も近いはずの関係が、ときに最も遠く感じられる——タイトルが投げかけるその矛盾を、表紙の少年の表情が静かに引き受けている。鮮烈な赤を背景に、こちらをまっすぐ見据える少年の顔は、絵筆のタッチを残した肖像画として大きく配置される。題字と著者名は白く細い縦組みで、人物の輪郭に寄り添うように余白へ置かれた。怒りでも哀しみでもない、言葉にならない感情をたたえた眼差しが、赤の他人と血縁のあいだで揺れる物語の重さを予感させる。About出版社講談社出版年2015年判型四六判 / A5判 サイズジャンル文学・評論Credits装丁中島香織装画pomodorosaAmazonで見る