
アメリカ文学を代表する短篇の名手が、猫をめぐる物語を編んだ一冊。気まぐれな小動物との邂逅や、日常の片隅から立ち上がる幻想が、軽やかな筆致で綴られていく。鮮やかな黄色を地に、鉛筆で素描された猫たちが余白を遊ぶ。籠のなか、ポケットから覗くもの、空き箱に潜むもの、二本足で立つもの、思いきり伸びをするもの——線の揺らぎがそのまま気まぐれな仕草として残る。太い明朝の書名と素朴な線画の対比が、奔放な物語の温度をそのまま手のひらへ伝えてくる。

著三浦哲哉
装丁宮古美智代
装画長崎訓子
講談社 / 2021年
文学・評論