
猫を主題にした文学アンソロジーの第二集。古今の作家たちが描いた「境界を越える猫」をめぐる短篇や随筆を、編者が選り集めた一冊である。生成り色の地に、毛並みの一本一本まで描き込まれた繊細な鉛筆画の猫がたたずむ。足元には開かれた古びた本、傍らには煙のように立ちのぼる雲。タイトル文字は淡い金茶でやわらかく組まれ、「II」の朱が画面を引き締める。鉛筆の細密な線が、紙の頁から現実へすり抜けていく猫の気配を、静かに立ち上がらせている。
著阿佐元明
装丁アルビレオ
装画草野碧
筑摩書房 / 2019年
文学・評論