
ペルシア系アメリカ人の十六歳ダリウスが、母の故郷イランで初めての友人と出会う青春小説。民族、人種、性的指向、うつ病、重層的なアイデンティティに揺れる少年の内面を、繊細な距離感で描き出す。カバーは深い緑を地に、赤いパーカーの少年がチェック柄のクロスを掛けた小さなテーブルでチャイらしき器を傾ける構図。背景には土色の街並みと青いドームが穏やかに広がり、足元には絨毯が敷かれる。タイトルは白抜きの太い和文で大きく組まれ、異文化の只中で静かに息をする時間そのものを画面に留めている。

著杉元晶子
装丁黒木香
装画げみ
集英社 / 2018年
文学・評論