
認知障碍を宣告された61歳の元刑事が、身元不明の認知症患者の謎を追いながら、残された時間で自分に何ができるのかを問う長編ミステリ。カバーは階段の上から見下ろす視点で、こちらに背を向け階段を上ってくる人影をシルエットで捉えた写真。風に舞う色づいた落ち葉が画面を斜めに横切り、人物の輪郭をかすめる。タイトルは右上に縦組みで大きく白抜きされ、黒い帯に黄色と白の見出しが重なる。輪郭が曖昧になる時間と、それでも歩を進める足元の確かさが、装丁の中で静かに拮抗している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論