東京・小平にある朝鮮大学校で過ごした4年間を、映画監督でもある著者が小説として描き出した自伝的物語。閉ざされた寮生活の中で揺れる思想と日常、友情と恋を、抑制された筆致で綴る。カバーは校舎とおぼしき建物の窓辺を捉えた青い写真で全面を覆い、コンクリートの打ちっぱなしと窓に映り込む光、カーテンの気配が冬の朝の静けさを伝える。中央に縦長の白い短冊を据え、明朝のタイトルと細身のカナで著者名を載せる構成が、被写体の重さに対して呼吸を確保している。建物の質感と一枚の余白が、内側にこもる時間の手触りそのものとして立ち上がる。