
パリの食卓を巡るエッセイ集。実在の店や料理の記憶を起点に、味覚と街の空気を言葉で再構成していく。表紙はモノクロームの食事風景の写真を全面に置き、白いテーブルクロスとワインボトル、窓の向こうの並木がやわらかな粒子で立ち上がる。上下にはトリコロールの細い帯と、筆記体で流れるフランス語の見出しが添えられ、題字は白い短冊に控えめに組まれて写真の静けさを乱さない。匿名の食卓に居合わせるような距離感が、妄想という余白を読み手に開く。

著相沢沙呼
装丁西村弘美
装画久方綜司
KADOKAWA / 2016年
文学・評論