
謎のDJのトークが昭和史と文学史を奇想でリミックスし、戦前・戦中期の文化人たちの密かな絆を浮かび上がらせる大長篇小説。生成り地に黒の角ばった太ゴシックでタイトルを大きく据え、円形の枠内には帽子とヘッドフォンを着けた人物が機材に向かう姿を緑と黒の細密な線画で描く。古い端末や扇風機、瓶や植物が周囲を取り巻き、稲妻マークを添えた黄色い帯が放送の電波感をいっそう強める。過去の声が現在に混線するラジオブースのような佇まいの一冊。

著篠原美季
装丁團夢見 imagejack
装画鈴木康士
新潮社 / 2017年
文学・評論