
短編の連なりからなる一冊で、終末の気配と日々の営みが静かに交差する。漆黒の地に浮かぶのは、白いソファに腰かけ赤いカップを抱える灰色の猫と、傍らに座る女性。頭上には人影、心臓、哺乳瓶、花、魚、月など脈絡を欠いた事物が点々と漂う。細密に描かれた絵は、夜の沈黙のなかでひとつの夢の場面のように静止している。タイトル文字は控えめな白で添えられ、賑やかな図像と過剰にぶつからない。終わりの予感と日常の手触りが、同じ画面で穏やかに同居している。
著柊サナカ
装丁鈴木大輔
装画neyagi+関上絵美
宝島社 / 2016年
文学・評論