
生と死、人と人ならざるものの境目を、軽やかな筆致で描く短篇集。表題作を含む十八篇が収められ、日常のすぐ隣にある不在や別れの気配を、ユーモアと寂しさを混ぜたまま掬い上げていく。淡いグレージュの地に、白銀の腹を見せた魚が四尾、頭の向きを互い違いに並ぶ。鱗には淡い黄の差し色、鰭は金茶でひかえめに引かれ、絵画的でありながらどこか標本めいた静けさが漂う。タイトル文字は手書き風の緑、著者名は端正な明朝で縦に置かれ、余白の取り方も含めて、死を扱いながら重さを纏わせない造本になっている。

著香月日輪、後藤みわこ、ひこ田中
装丁新潮社装幀室
装画烏羽雨
新潮社 / 2013年
文学・評論