
間取り図に潜む「真実」を読み解いていく、半間建築社シリーズの一冊。欠陥住宅や曰くつきの物件にまつわる謎を、図面という冷たい記号から手繰り寄せていくミステリだ。表紙は散らかった部屋で図面を膝に広げる人物と、ソファの背越しに覗き込むもう一人を、淡い線と抑えた配色で描いたイラスト。床に散らばる空き缶やレジ袋、奥に積まれた段ボールが生活の温度を残し、白地のタイトル枠が画面を静かに引き締める。生活の乱雑さと図面の冷静さ、その距離をそのまま装画に閉じ込めた一冊。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論