
一人の男を殺そうとしている四人の女のうち、誰が真犯人なのか——婚約者の身を案じた友人が容疑者たちのもとを訪ね歩く、倒叙でも本格でもない異色のミステリ。くすんだブルーの地に、マグカップ、マティーニ、ミントの浮かぶグリーンのカクテル、オリーブを沈めた細身のグラスと、四つの飲み物が手描き調のタッチで散らされる。器の形がそれぞれの女の輪郭を思わせ、和文タイトルの「の」だけを朱に落として静かな緊張を添える。誰が口にする一杯なのか、見る側に選ばせる表紙である。
著古内一絵
装丁西村弘美
装画いとうあつき
東京創元社 / 2023年
文学・評論